2008年10月21日

地図は土地ではない(5)

こんにちは!NLP Fieldの酒井です。
今日もこちらにお越し頂いてありがとうございます。



これまで4回に分けて、
「地図は、土地ではない」という前提について
お話してきました。

読んでみると、あたりまえじゃん、っていうことばかりだったかもしれませんね。
しかし、日常の中で、このことを忘れてしまうことが結構あるのです。その時に、この前提が、自分の中に根付いていると、今まで、知らず知らずに引きずっていた問題が、いとも簡単に解決してしまうことさえあるのです。


さて、今日は、この「地図は、土地ではない」について、少々学問的な背景に触れながら、お話したいと思います。


「地図は、土地ではない」という前提は、一般意味論というものから生まれてきました。


◆一般意味論は、1919年頃からアルフレッドコージブスキーという方が提唱し始めた理論です。

簡単にいうと
人間の神経回路の使い方と、言語の使い方は、人の可能性を制限している、ということです。

これは、NLPの考え方の根底に影響を与え、メタモデルという言語パターンの発展の原点になった考え方のひとつでした。


「一般意味論」が生まれた背景は、第一次世界大戦が終わった頃でしたが、世界は、ドイツのヒットラーの台頭などで、第二次世界大戦への足音が聞こえていた時期でした。

コージフスキーは、そのことについていろいろと深く考えることがあったようで、特に、人間とは何か、ということについて探求していったようです。

そして、人間の持つ能力を人類の進化の方向に向けていくことを提唱して、「科学と正気」という著書で、この内容を一般意味論と名づけました。


具体的にすると・・・

●私たちは、物事を「抽象化」しすぎている。まず、そのことに自覚することである。


私たちは、物ごとに対して、いろんな見方をすることができます。

例えば、「あなた」という存在は(男性の場合)、文字通り、男性と見ることもできるし、成人としてみることもできるし、ビジネスパーソンや自営業者等としてみることもできるし、親から見れば、子供として見られることもできます。

と言うことは、こうした見方は、単なるラベルにすぎません。

しかし、私たちの人間関係において、ある側面(ラベル)に着目すると、それ以外のラベルを見ることはありません。

例えば、あなたが、上司にムカついていたとしたときに、
「むかつく上司」以外の側面、例えば、家庭では愛されている父親(ということもあるかもしれません)という側面には、目がいかないでしょう。


このように、私たちは、思考や行動において、ある側面だけ捉えたり(ラベル化)、抽象化して物事を捉えていきます。
一度、そうしたラベル化や抽象化をすると、そこに囚われてしまいます。


これは、特に、第二次大戦での「ナチス」へのラベル化が挙げられます。人間的には、どんなに素晴らしい側面をもっていたとしても、ユダヤ人とみなせば、そのラベルだけに同一化させて、他の側面は、全て気づかない事態になります。

そして、その先には強制収容所行き。。。


現代の私たちも、人から言われなくても
自分自身で、「自分とはこんな人間だ。」というのを形成して
同一化して、そこからなかなか離れられないでいることはありませんか?



コージフスキーは、こうした無用な抽象化を外すためにも、
様々な科学的手法を用いて、「抽象化していることを意識する訓練」をしたそうです。
「私は知らない、だから見てみよう。」というNLPでは、Know Nothingステイトとも取れる姿勢は、ここから通じているのかもしれません。 (ウィキペディア参照)


●私たちは、「時間を結合する」という力を持っている。

私たちは先達の知恵を、自分たちが経験しなくても活用していくことができます。例えば、コーヒーの作り方などは、(いろいろな説がありますが)エチオピアの少年が、コーヒー豆を食べたヤギが興奮状態になったことから発見されて、歴史を重ねて今のような製法が生まれてきたそうです。

私たちは、そうしたことを直接体験しなくても、コーヒーというものを飲むことができます。

一方で、「親から危ないから止めておきなさい。」「そんな馬鹿なことをしたら立派な大人になれないですよ。」ということから、小さい頃の抱いた夢や希望を断念した人もいるかもしれません。

こうしたことも、自分が経験していなくても、親の経験を推測して自分なりに思考して、行動をするということをやめることがあります。


こうして、私たちは、時間を越えて、コトバなどで知識を受け継ぐことができるのです。


●他にも要点がありますが、一般意味論では、こうしたことを理解しておけばいいでしょう。
(まだまだ、私も一般意味論は、かじり始めたばかりですので、
 あなたとともに成長していきたいと思っています。)

これらが、「地図は土地ではない」という背景に含まれる部分なのです。


私たちは、必ず神経経路と言語で形成した地図を構築します。
その地図が、現実と違えば違うほど、混乱することがあります。
その地図が、現実に近ければ近いほど、一致感がでてきます。


そのためにもコージフスキーは、すぐに自分の地図に同一化して即座に反応するのではなく、少し待って、いろいろな観点を持ってみよう、ということでした。
特に。白か黒かという二つの見方ではなく、灰色もあるし、灰色にもたくさんの濃度があるように、さまざまな観点で物事を捉えることや、

それさえも手放して、何も知らないという観点で物事を経験することを薦めています。



コージフスキーの一般意味論は、言語学でいわれる意味論とは異なり、今日ここまでお話してきた、私たちの現実への反応や意味のつけ方について、お互いの誤解を生むことや、事実を誤認することを避け、自分や世の中がより協力して、さらに良くなるように(彼のコトバだと、「正気」になるように)使っていくことを願って生まれてきたものなのです。

特に、コミュニケーションは、コトバを使ってお互いの意味を通じ合えるようにすることです。

しかし、その元になっている地図は、お互い全く違うわけですから、このことだけでも理解しておけば、相手と意見が多少違ったとしても、当たり前だということで受け止めておけば、精神的にもかなり楽にいることができます。

そこから、どんな風に、私たちが地図や意味を共有して行くのか、そのプロセスに意識を向けていくことができるからです。


NLPは、そうした考え方と共に、精神性も受け継いでいるのかもしれませんね。


PS
NLPは神経言語プログラミングと訳されます。
神経や言語で形成されたものが地図です。
私たちは、個別の地図の創り方を持っています。(=プログラミング)
つまり、神経言語プログラミングとは、まさに、あなたがこの世界に対してどんな地図を作るクセがあるのか、反応する癖があるのか、どんな行動や体験を意味づけするクセがあるのかを理解して、それに自然な変化を創りだす方法論なのですね。


次回は、NLPのまた、別の前提をご紹介したいと思います。
どんな前提が出てくるかは、楽しみにしていてください!

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